ローコスト注文住宅の仕様(構造材)

どんなお家

今回は、1000万円前半で建てたローコスト注文住宅の構造材の仕様です。

柱が太いオール4寸柱仕様ではなくても安心感と満足度が高い理由

こちらが、我が家の構造材仕様です。

4寸柱となっている通し柱・隅柱以外は、3.5寸柱です。

3.5寸柱は、ローコスト住宅や建売住宅でも採用している一般的な仕様ですが、我が家が最後まで比較検討した工務店では、次のようにオール4寸仕様を採用していました。

タマホームなどのローコストハウスメーカーなど、オール4寸柱を採用しているビルダーでは、大抵「4寸柱は太い柱だから強くて安心!」と言われるので、オール4寸柱を選ぶべきかどうか、かなり悩みました。

当時、アコルデでオール4寸にすると、約30万円もの追加見積もりだったため、もう一つの工務店の仕様のお得感を感じたのも理由です。

ただし、このときのアコルデの見積もりは、壁にパンパンに詰め込むセルロースファイバー断熱材だったため、オール4寸にすることで、断熱材が増えることも金額が大きくなる原因だったと思います。

しかし、色々調べてみるとこの4寸柱が強いというのは、イメージ戦略的な側面も大きいと感じ、こだわる必要がないと判断しました。

こちらの記事が、参考になると思います。

柱は細いとダメなの!?4寸柱と3.5寸柱を比較してみました | 家づくり情報ブログ
柱の太さには4寸角と3.5寸角の2種類があります4寸角の方が太くて安心だけど。3.5寸角ではダメなのか?知りたくありませんか?本記事では、4寸角と3.5寸角を比較したメリット・デメリット。柱の太さ以外に大事な部分。地震に強い家をつくるポイン...

実際、当時オール4寸仕様の工務店の図面と、3.5寸のアコルデの図面を見比べると、柱の数や筋交いの量が、アコルデのほうが圧倒的に多く、どちらがしっかりした構造かは明らかでした。

我が家は、構造用合板と筋交いを組み合わせた在来軸組パネル構造ですが、一階には、次のように多くのW筋交い(たすき掛け)が入っています。

業者の都合でコストダウン:メーカー選びとルール等

構造用合板を使う工法では、筋交いを全く使わない場合もあることから考えると、材料と施工両面でかなり贅沢な構造で、結果的に安心感ある選択肢となりました。

オール4寸で狭くなる内寸は15mm

オール4寸柱を採用した場合、室内空間が若干狭くなるというデメリットがあります。

3.5寸柱 = 105mm 角
4寸柱 = 120mm 角

と、その差15mmになります。

室内空間は、この柱に挟まれることになるので、両側の差を合計して30mm(3cm)狭くなるという説明をされているケースを見かけます。

しかし、廊下や0.5坪のトイレなどの内寸横幅が30mmも狭くなるという誤解を招く表現だと思います。

柱一本の太さは、たしかに15mmの差があるのですが、廊下などの内寸に影響するのは、次のように柱の中心から半分の寸法だけになります。

4寸柱と3.5寸柱の組み合わせの我が家の設計はまずいのか?

このように、両端の柱が3.5寸柱から4寸柱になっても、石膏ボードを挟んだ内寸は、780mmから765mmと、15mmだけ狭くなります。

両端の柱が別の部屋や廊下に面する内壁の柱であれば、室内全体に対して30mm狭くなるという説明もあながち間違いではないのですが、外壁面に立つ柱は、太くなっても半分は室内の広さには関係ありません。

ただし、15mmとはいえ、注文住宅では家具の納まりや搬入の寸法に影響することがあるので、油断できません。

我が家の場合、回り階段から二階に設置する洗濯機を搬入する必要がある間取りだったため、少しでも広い3.5寸柱の方が安心だと考えました。

オール4寸の工務店には、万一の場合には、手すりを外せば階段の通路は一時的に広くできると言われたのですが、なるべくそのような手間がかからないことに越したことはありません。

このおかげかどうかわかりませんが、縦型洗濯機の買い替えでも搬入には全く問題ありませんでした。

洗濯機搬入と冷や汗もんの事実が判明

4寸の通し柱の納まりの疑問

我が家では、通し柱と隅柱が4寸の太さになっています。

通し柱とは、その名の通り一階から二階までを通して繋がった柱で、建物の耐震性や耐久性のために、とても重要な構造材です。

上棟の時に、しっかり見られたはずなのですが、当時関心がなく、きちんと写真を残していなかったことが悔やまれます。

かろうじて残っている写真に我が家の通し柱が写っていました。

このように2階と1階をつなぐ柱を太い4寸柱にすることは、納得なのですが、後々よく考えると、3.5寸の土台にどのように4寸柱を載せているのか気になりました。

偶然残っていた写真を見ると、我が家の場合、このように柱を外側の面で揃えていることがわかります。

[着工25日目] 上棟フォトレポート(その2)

こちらの写真でも4寸の太い角柱が外側面に揃えて立てられているのがわかります。

4寸柱と3.5寸柱の組み合わせの我が家の設計はまずいのか?

一方で、このように4寸柱を土台の外に出して立てる場合もあるようです。

引用: 平屋だし4寸柱で造る意味があるのか?

これは、室内が狭くならないように考慮しているためのようですが、我が家の場合は角や部屋に直接影響しない部分だけに4寸柱が立てられているため影響がないのかなと思います。

ちなみに、3.5寸柱と4寸柱の組み合わせで、4寸柱が外に出す立て方の場合、外壁の通気に問題となる場合があることを下記の記事で書いていますので、併せてご参考ください。

4寸柱と3.5寸柱の組み合わせの我が家の設計はまずいのか? | 奇跡のマイホーム建築記録
一般的には、ローコストな木造軸組み工法だと、3.5寸(105mm)の柱を採用していることが多いのではないでしょうか? 我が家は、元々建売住宅を買おうと思っていたぐらいなので、柱の太さには無頓着だったのですが、ローコストな工務店でもオール4寸

集成材にも色々ある

仕様書にある「EW」とは、エンジニアリングウッドの略称のようです。

いわゆる集成材ですね。複数の木材を接着剤で結合させた人工の木材で、無垢材に比較して反りや狂いが出にくいと言われています。

集成材に抵抗がある方もいらっしゃると思いますが、我が家の一軒目の建売では、背割れの入った無垢材でした。

住み初めてから柱がきしむ音が聞こえ、クロスのひび割れが出るほど木材が動くことを実感したので、狂いの少ない集成材のメリットには賛成です。

契約時に、集成材の仕様を細かく確認していなかったのですが、柱に貼られているシールにはスプルースとありました。

スプルースは、北米やヨーロッパの木材で、北米産が「SPF」ヨーロッパ産のスプルースが「ホワイトウッド」に分類されるようです。

我が家の柱のスプルースが、どちらの産地のものかはわかりませんが、製造者がルーマニアとあるので、ヨーロッパ産かもしれません。

特に、ホワイトウッドは屋内の家具などの利用には良くても住宅の構造には適さないと言われている一方で、大手ハウスメーカーが構造材に採用しているため、批判と心配の声があることで有名です。

我が家の建てたアコルデでは、標準で国産杉と米マツの異樹種集成材を標準にしているとブログの情報で得ていたため、ホワイトウッドになっていることは想定になく確認していませんでした。

引用: 祝♪上棟 | スポーツサイクルライフ

しかし、かなり厳しい我が家の予算の事情に併せて価格をかなり頑張ってもらったので、仕方がなく納得しています。むしろ、合理的な判断をしていただいたと感謝しています。

元々、我が家の構造で過度に樹種に神経質にこだわる必要性を感じていなかったため、あまり抵抗ありません。

ホワイトウッドを批判する記事でよく引用されている、有名な雨ざらしでの比較実験写真がありますが、実際の住宅の構造材が晒される状況とは程遠いため、個人的には参考に値しないと考えています。

ただし、我が家も梁に関しては、ベイマツとスギを組み合わせたハイブリッドビームを採用していました。

実は、我が家は当初、和室の三枚扉を引き込む壁を構造の都合上1363mmの幅が必要な設計となっていました。

[我が家の間取り] 三枚引戸は壁厚注意 [最終プラン]

しかし、最終的には、次のように壁の幅は910に縮まり、開口部が広くなるという嬉しいサプライズがありました。

工務店のアコルデ岡本社長に訪ねたところ、「予定より”梁せい”が大きな梁を入れたので、和室の壁を狭くすることが出来た」という説明がありました。

上棟時の写真を見ると、確かに高さのある梁がところどころに入っているのがよくわかります。

梁・桁の仕様には「105✕150〜」となっている通り、必要に応じて梁せいの高さは大きなものを利用することになっているようです。

誰もが、このような嬉しいサプライズが受けられるとは限りませんが、間取りプランの開口寸法などが満足できない場合は、梁の大きさで対応できないかを相談してみても良いかもしれません。

土台と剛床

我が家の床構造は、根太レス工法と言われる今では、かなり普及している工法です。

24mm厚以上の剛床とも呼ばれる厚みのある構造用合板を張ることで、根太を不要としています。

剛床と言われると、いかにも強そうなイメージがありますが、施工の手間を減らしてコスト削減の効果が高いため、我が家が検討したローコスト住宅や建売住宅で一気に普及してものと思われます。

「根太レス工法」を考える-その1 » 名古屋の弁護士による建築紛争、欠陥住宅、リフォームトラブルなど建築問題の相談・解決
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そんな、我が家の土台は、ひのきとなっていますが、10年目の床下の写真があったので、ご紹介します。

10年目の2回目シロアリ防除工事は、工事の様子がわかりやすかった

この写真はシロアリ防除時に撮影した写真ですが、築10年目では全く劣化の様子が見られません。

こちらは別の写真です。

仕様書には、大引の樹種の記述はありませんが、見る限りは土台と同じ、ひのきのように思われます。

こちらは、上棟直前の剛床(ラージ合板)を張り終わった直後です。

[着工22日目] 土台☆どうだい?

このタイミングで、合板が雨に濡れると大変なので、防水のためのビニールがかぶせてあります。

2階や小屋裏収納の床も同じく24mmの剛床が使われます。

24mmの合板の断面を見ると、確かに相当な厚みがあり丈夫そうに見えますが、かなり薄い木材の貼り合わせであることもわかるので、やはり濡れるのは厳禁だと思います。

現場では、このように棟梁の作業台としても利用されていました。

W筋交いと構造用合板ノボパン

我が家のW筋交いは、前述の通り沢山入れていただいているのですが、このようにW筋交いが連続する壁にグラスウールの断熱材を正しく施工するのは、かなり手間がかかることを素人でも想像できます。

我が家の場合、このような現場発泡のウレタンフォーム(アクアフォーム)断熱材を採用したため、筋交いのある壁の断熱材の不良施工の心配は小さくなりました。

[着工58日目その3] アクアフォーム吹付け完了と謎の板

我が家が建てた工務店のアコルデでは、普段は吹込みタイプのセルロースファイバーを採用しているので、アクアフォーム同様に筋交いの壁でも容易に隙間なく断熱材を詰だめ込むことが出来ます。

逆に考えると、セルロースファイバーやアクアフォームを利用するから積極的にW筋交いを入れられるのかもしれません。

このように断熱材の選択に構造の設計思想の相関関係が現れている可能性があるので、注目してみてはいかがでしょうか?

最後に我が家の壁に使われる構造用合板のノボパンの写真です。

構造用面材や耐力面材などとも呼ばれ、ダイライト、ハイベストウッドなどが有名です。

きちんと比較すると、それぞれ強み弱みがあるようですが、我が家は予算的にこだわる余裕がなかったので、工務店の標準仕様のノボパンで抵抗なく納得しました。

悔やまれることに、我が家のノボパンを貼った状態の写真がほとんど残っていないのですが、貴重な証拠写真がこちら。

[着工25日目] 上棟フォトレポート(その2)

上棟の日に、現場監督がノボパンの上で幣串を準備してくれていました。

あと、写真がブレブレですが、玄関に貼られたノボパンがかろうじて映っていました。

[着工36日目(その1)] 恐怖の?覗き窓!?

ノボパンは、釘間隔で壁倍率が変わるらしく、自分の目で確認をできなかったのが心残りです。

引用: 耐力面材の施工方法

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